路地裏の奇跡!わずか5席の炭火焼きうなぎ専門店*FUNAGI@タンディン街区

日本料理

進化を続けるホーチミン市のグルメシーン。本格的な日本の味を求める声が日増しに高まるのも当然のこと。ラーメン、寿司、焼肉といった定番がひしめく中、突如として新星が現れました。

本記事では、「高級料理」のイメージが強いうなぎを手頃な価格で、かつ炭火焼きの本格クオリティで提供する「FUNAGI」をご紹介します。

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「FUNAGI」の場所・雰囲気

やって来ました、ホーチミン市タンディン街区(旧1区ダカオ街区)・フインクオンニン (Huỳnh Khương Ninh) 通り。主要な観光地やオフィス街の喧騒から一歩入った、ローカルな食堂や昔ながらの商店が並ぶ、落ち着いたエリアです。

バイクがゆっくりと行き交い、人々の生活が垣間見えるこの通りに佇むのが、今回紹介する「FUNAGI」。

FUNAGI」は「Fusion Unagi Don」の略だそうですが、漢字で書くと「風鰻」になるらしい。

コンクリート打ちっ放しの壁をベースに、伝統家屋を思わせる瓦屋根風の庇と、白い帆布を組み合わせたような立体的な看板が印象的。大きく開かれた入り口からは、伝統文様である青海波を思わせる壁紙が覗き、気持ちを高めてくれます。

カウント、ディス、オープン、グランド…あっ、読む方向が逆だった。オープン記念ということで、メニューの値引きを期間限定実施中。終了日は未定。

通常であれば有料の菊花茶も、期間中は無料でいただけます。「うなぎ丼!」

暖簾をくぐるように、カーテンで仕切られた店内に足を踏み入れると…そこは木の温もりに満ちた、わずか5席だけの特別な空間。

このときは17時過ぎに訪れたので客は我々だけでしたが、ピーク時は並んで待つことになりそうだ…。なお、テイクアウトも可能であるほか、将来的にはデリバリーにも対応する予定だそうです。お店は、2名の店員さんが回していました。

「FUNAGI」のメニュー

「FUNAGI」のメニューは潔い構成。フードの主役は「うなぎ丼」のみであり、サイズやセット内容が異なる3種類から選ぶという、非常にシンプルで分かりやすいものです。

あまりフュージョン感は無く、むしろ清く正しいうな丼に見える。強いて言うなら、イカ焼きを乗せるというところにフュージョンみが漂うが…。

ふと棚に目をやると、『ドラゴンボール』のフィギュアが飾られているのを発見。…あっ、「フュージョン」ってそういうこと!?(ドラゴンボールにおいて、2人のキャラクターが合体して1人の強力なキャラクターになる技のことです)

ドリンクも「抹茶ラテ」や「ほうじ茶ラテ」といった和風ラテから、「はちみつ菊茶」、「梅ソーダ」など、ちょっと意外なラインナップが揃います。「鰻皿」や「ご飯」といった追加メニューも用意されており、自分好みにカスタマイズできるのも嬉しいポイントよねえ。

注文が入ると、スタッフが店頭の焼き場に立ち、うなぎを焼き始めます。焼き上がりはかなり早かったので、事前に調理したものを炭火焼きにしているのかな。うなぎはニャチャン産の養殖うなぎを使用し、それらをお店で捌いているとのこと。

慣れた手つきでうなぎを操るのは、日本人…ではなく、若きベトナム人オーナー。日本の食文化への敬意と情熱がひしひしと伝わってきます。

タレもまた、お店オリジナルのものだそう。鼻腔をくすぐる甘く香ばしい煙が立ち上る様子はエンターテイメント。皮目がパリッと、身はふっくらと仕上がっていくのを目の当たりにして、期待も高まる。

実食。うなぎ警察もきっと満足

今回はうなぎを心ゆくまで堪能すべく「SET 3」を注文。価格は、通常は228,000ドンのところ、期間限定で188,000ドンとなっている模様。

使い捨ての紙製ではなく、丁寧な作り込みが感じられる、小紋柄が素敵な布製の箸袋。お店の細やかな「おもてなし」の心と、日本の美意識が表現されています。

お重の蓋を開けると、甘辛いタレと炭火の香ばしいアロマがふわりと鼻を突き抜ける。お重の中には、タレが艶めかしく輝く2枚分の肉厚うなぎ。トッピングの胡麻や韓国海苔ふりかけが創作要素…かな?

まずはお箸でうなぎを一切れ。口に運ぶと、表面は炭火で焼かれた「パリッ」とした香ばしい食感を残しつつ、中の身は「ふわっ」ととろける、関東風な仕上がり。噛むほどに上質な脂の旨味と甘みが広がる。

ご飯にもきちんとタレがまぶされている、というところも「分かってる」。タレがかかったご飯もまた、うな丼・うな重の重要な要素であることは言うまでもなく。

タレは、ベトナム南部の好みに合わせてか、甘辛めのテイストとなっており、これだけでもご飯が進む…。ご飯は粒感がしっかり立った少しかための仕上がりで、丼ものにぴったりです。

なお、卓上にはタレ・七味・山椒が置かれているので、味変は勿論、追いタレだって出来てしまう。山椒は安くないだろうに、置いてくれているのがありがたい。

とろりとした半熟煮卵。箸で持ち上げたら崩れてしまいそうなほどに繊細な、ぷるぷるの仕上がり。

クリーミーなサラダ。「スパイシーマヨ」的なドレッシングなのか、少々ピリ辛。ここは、奇をてらわずごまドレッシングなんかでも良かった気がする。

こちらの汁物は「味噌汁」…とのことでしたが、味噌の味がせず、代わりにとろろ昆布のお吸い物のような味がしました。これはこれで美味しかったのですが…どういうことだ!?

ただ、最近ベトナム人の友人から聞いたのですが、ベトナムでは「わかめが入っている汁物」を総称して「味噌汁」と呼ぶことがあるそうで、これもそのパターンなのかもしれない。どうやら、そもそも「味噌」が何かを知らない人が多いらしい。

と、ここでオーナーさんから、彼の故郷(クイニョン)のお菓子をいただいてしまった。「Bánh tráng mắm ruốc(バイン・チャン・マムルオック)」と呼ばれる、パリパリ食感と唐辛子のピリ辛な味が特徴の、ライスペーパーを使ったお煎餅です。

お店が小さく距離が近いからこそ、オーナーさんは色々と気にかけてくれました。単に「安くて美味しいうなぎが食べられるお店」というわけではなく、おもてなしの心にも触れられる素敵なお店でしたよ。

「FUNAGI」の店舗情報

お店の名前 FUNAGI – Fusion Unagi don
住   所 72 Huỳnh Khương Ninh, Tân Định, Hồ Chí Minh
営 業 時 間 10:00 〜 22:00
定 休 日 日曜日
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