目まぐるしく発展を続けるホーチミン市。その華やかさの一方、昔ながらの生活が息づく路地裏（ヘム）に足を踏み入れると、ディープなベトナムの風情が心に響き渡ります。
そんな路地裏に、モダンな隠れ家カフェが点在するのが面白いところ。都会の喧騒が夢であったかのような、静寂と緑に包まれた空間が広がります。
本記事では、ホーチミン市・旧ビンタイン区内に2店舗を展開するカフェ「CÀ VIẾT HOA」のNơ Trang Long通り店をご紹介します。
「CÀ VIẾT HOA」Nơ Trang Long店
おはようございます。ここは…どこでもいいか（投げやり）。
はい、こちらは旧ビンタイン区北部・現Bình Lợi Trung街区に位置するノーチャンロン (Nơ Trang Long) 通りです。日本人はおろか、外国人がまず訪れることのないエリアですね。
カフェがあるのは、Nơ Trang Long通り482番地からいくつものヘムを奥へ奥へと入った場所。
車の行き違いは困難ほどの細い路地、両脇に並ぶローカルな住宅、そして頭上を覆うように茂る木々のアーチ。冒険の始まりのような道のりです。
白い壁に映える、鮮やかな赤い看板。レトロなフォントで書かれた「CÀ VIẾT HOA」の文字が目印です。過度な装飾がないシンプルながらも印象的な外観は、これから始まる癒やしの時間への入り口に違いない。
店内の様子
一歩足を踏み入れると広がるのが、このカフェの心臓部とも言える、建物の中央に位置する緑豊かな中庭のテラス席。
石畳が敷かれた床、木々の間から差し込むやわらかな木漏れ日、そして早朝ならではの、心地よく吹き抜ける風。非日常的なリラックス感を味わえます。
屋内席は、古き良きベトナムの邸宅をリノベーションしたような、趣のある作りが特徴的。ダークブラウンの木材をふんだんに使った柱や格子窓、どこか懐かしい模様のタイル張りの床、そしてアクセントとして使われるレンガの壁。レトロな意匠がモダンなデザインの中に溶け込んでいます。
店内に設けられた小さな噴水。水のせせらぎと観葉植物の緑が、視覚と聴覚の両方から癒やしを与えてくれます。ブティックホテルやスパのような雰囲気。
客席はいくつかのエリアに分かれており、こちらはグループで利用できそうなテーブル席。
さらには「Phòng học chung（自習室）」と書かれたガラス張りの部屋まで用意されています。その日の気分や目的に合わせて場所を選べそう。
「CÀ VIẾT HOA」のメニュー
「CÀ VIẾT HOA」のメニューはこちら。「私たちは100%天然の果物を使い、砂糖の使用は控えています (CÀ VIẾT HOA sử dụng hoàn toàn từ trái cây tự nhiên, không syrup, hạn chế đường, tốt cho sức khoẻ.)」という一文からこだわりが伺える。
コーヒーメニューは、ベトナムの定番「Cà Phê Sữa/ Bạc Xỉu（コンデンスミルクコーヒー）」から、本格的なエスプレッソ、ラテまで幅広くラインナップ。「Cà Phê Foam Muối Hồng（ヒマラヤピンクソルトフォーム・コーヒー）」や、今回私が注文した「Cà Phê Sữa Gạo（ライスミルクコーヒー）」といった、独創的なアレンジコーヒーにも注目。
コーヒー以外も、フルーツをふんだんに使ったジャスミンティーベースのティードリンクやフレッシュジュース、抹茶ラテ、チョコレートドリンクなどが充実。
ドリンクのお供には、数種類のクロワッサン。定番の「Croissant Truyền Thống（トラディショナルクロワッサン）」に加え、「Croissant Bơ Tỏi（ガーリックバタークロワッサン）」や、ベトナムならではの「Croissant Trứng Muối（塩漬け卵のクロワッサン）」など。
…ちなみに、レシートに記されたWi-Fiパスワードは「tralaithomximuoi」。お店としては「Trà Lài Thơm Xí Muội（パイナップル＆ソルティアプリコットティー）」を最推ししているみたい？
実食。伝統と創造が溶け合う一杯？
シグネチャードリンク「Cà Phê Sữa Gạo（ライスミルク・コーヒー）」（45,000ドン）と、シンプルな「Croissant Truyền Thống（トラディショナルクロワッサン）」（45,000ドン）をオーダー。
「Cà Phê Sữa Gạo」は、グラスの中でコーヒーとライスミルクが層を成しています。コーヒーの苦味はさほど強くなくすっきりした味わい、その後を追うように香ばしいライスミルクのまろやかさが全体をまとめ上げます。
ライスミルク自体は結構加糖されている感じですが、コーヒーと混ぜるとちょうど良い。
リベイクしたうえで提供されたクロワッサン。生地はザクザク系ではなくしっとり・もっちりで日本人好みな仕上がりだと思います。
ライスミルクコーヒーのすっきりとした味わいとよく合い、極上のカフェタイムを約束してくれること間違い無し（個人の感想です）。
そして、来店から1時間半が経過した午前9時半。…はい、テラス席はほぼ満席です。前述の通り店内にも席があるのですが、やはり皆さん外のほうがお好きなようで。
「自分だけの特別な隠れ家」…とはいきませんが、ローカルなヘムを探検する道のり、光と緑に満ちた空間、伝統と革新が融合したこだわりのメニューを楽しんでみてください。
