タイ北部の古都、ランパーン。かつてチーク材の貿易拠点としてチェンマイを凌ぐほどの経済的・政治的重要性を誇ったこの街には、当時の繁栄を伝える歴史的建造物が今なお点在しています。
その中でもひときわ優雅な佇まいを見せるのが「バーン・プラヤ・スレーン (Baan Phraya Suren)」。ランパーン初代知事の官邸としての歴史を持つ邸宅ですが、2020年にホテルおよびレストランとして再生。今回はこちらでランチをいただきましたよ。
本記事では「バーン・プラヤ・スレーン・バイ・マダム・ムスール (Baan Phraya Suren by Madame Musur)」をご紹介します。
「Baan Phraya Suren by Madame Musur」の場所・外観

お店が位置するのは、ランパーン鉄道駅からほど近いソップトゥイ (Sop Tui) 地区。この界隈は20世紀初頭の鉄道開通に伴い発展したエリアであり、お店が面する「スレーン通り」の名は、初代知事プラヤ・スレーン (Phraya Suren) の功績を称えて名付けられました。

敷地に足を踏み入れると、まずは手入れの行き届いた庭園がお出迎え。南国らしい、色鮮やかなブーゲンビリアが咲き誇ります。

鮮やかなイエローの壁面と、淡い紫がかったグレーの窓枠が調和する、なんとも優雅な2階建ての洋館。現在はブティックホテルとして利用されています。
こちらの建築様式は「コロニアル・ランナー」または「ジンジャーブレッド・ハウス」と形容されるもの。西洋の建築技法と現地の伝統が融合したスタイルです。

この邸宅は、1890年から1904年頃に建設されたとのこと。初代知事の私邸兼官邸として使用されていました。

知事の没後は実業家一家の所有となり、大きな改変を免れたままに状態で保存。2020年、ブランド「マダム・ムスール (Madame Musur)」によって景観を損なわないように修復が行われ、今日の姿へと生まれ変わりました。
「Baan Phraya Suren by Madame Musur」の内装・雰囲気


ということでレストランへ。内装は、歴史的な調度品とモダンなセンスが融合した美術館のような空間です。
天井からはクリスタル・シャンデリアと、タイ北部らしいカラフルなランタンが吊り下げられており、まあなんとも華やか。

チーク材の茶褐色の柱や床に対し、クッションやファブリックには鮮やかな紫やピンクの伝統文様が取り入れられています。


ビーズカーテンやアンティークの絵画、至る所に飾られた生花が、タイらしいエキゾチックかつ落ち着いた雰囲気を演出します。
「Baan Phraya Suren by Madame Musur」のメニュー


メニューは数が多いので、一部のみ抜粋。提供される料理は、伝統的な北部タイ(ラーンナー)料理をベースに、宮廷料理のエッセンスを加えたものが中心。

北部料理の定番「ゲーンハンレー(豚肉のカレー)」や、多種の副菜を一度に楽しめるオードブルセットなどが揃っています。

あとは155〜170バーツ程度で楽しめるバリューセットも。メイン料理にライスとサイドディッシュが付き、手軽に本格的な味を楽しめるのが魅力。


ドリンクのほかペイストリーも充実しており、カフェ利用もあり、か。
実食

今回は、このお店のシグネチャーメニューの一つである「カオソーイ・クン(海老のカオソーイ)」を注文。カオソーイはタイ北部名物のカレーヌードル。価格は139バーツ。


盛り付けが美しいですね。丼の中央には、サクッと揚がった海老が鎮座し、その下には濃厚なカレースープと平打ちの卵麺。カオソーイの特徴である揚げ麺は食感のアクセントになり、ココナッツミルクが効いたスープとよく絡みます。辛みは意外とある。

別添えのライムを絞り、赤たまねぎや高菜の漬物を加えることで、酸味とコクのバランスを自分好みに変えながら楽しめます。ポーションは小さめ。
…周囲のローカル食堂で大盛りの美味しいカオソーイが50〜60バーツがいただけることを考えると、ここでは違うチョイスをしても良かったかなあ。とは言え、食を通じて歴史を体験するという経験の方が尊いので、結果オーライということで(強引に納得)。

合わせたドリンクは、タイならではの紅茶の色合いが目を引くタイレモンティー(70バーツ)。このビビッドなオレンジこそがタイティーである。特有の甘い香りにレモンのキリッとした酸味が加わり、スパイスの効いた料理の後の口直しとして優秀でした。
「Baan Phraya Suren by Madame Musur」の店舗情報

「バーン・プラヤ・スレーン・バイ・マダム・ムスール (Baan Phraya Suren by Madame Musur)」をご紹介しました。
単に「古い建物を改装したレストラン」というだけではない、ランパーンのアイデンティティを体現する場所。ランパーンの歴史の豊かな歩みに触れ、五感で味わう―そんなひと時を、美しい邸宅で過ごしてみては?

