ベトナム中南部に位置する沿岸都市「トゥイホア (Tuy Hòa)」を訪れています。ニャチャンとクイニョンの間に位置する街であり、ホーチミン市からは飛行機でわずか1時間あまりの距離。
ニャチャンやダナンといった有名リゾートの賑わいとは一線を画し、素朴の自然と穏やかな時間が流れるトゥイホアはまさに穴場スポット。無理に旅程を詰め込まず、カフェで何もしない時間を過ごすこともまた一興。
本記事ではトゥイホアのカフェ「noonconcept」をご紹介します。
「noonconcept」の場所・雰囲気
やって来たのはルオンタンティン (Lương Tấn Thịnh) 通り。ビーチからほど近い、静かな住宅街です。
お店の前の通りは交通量も少なく、風に街路樹の葉が揺れる音が聞こえるほどの穏やかさ。そんな通りに、「noonconcept」はまるで昔からそこにあったかのように自然に佇んでいたのでした。
店内は、ベトナムの家屋でよく見られるような、奥に細長い造り。壁やカウンター、テーブルは無機質な印象のコンクリートで統一されていますが、不思議と冷たい感じはしません。
床に敷き詰められた温かみのあるオレンジ色のテラコッタタイル、木製の椅子、そして照明が、コンクリートの硬質さを和らげ、むしろ落ち着きのある上質な背景として機能させています。
インダストリアルなクールさと、自然素材のナチュラルな優しさが共存する空間。入り口から差し込む自然光が、店内に光と影のコントラストを生み出し、絵になります。
壁の一角に設けられたギャラリースペース。こちらのカフェの向かいには経営が同じ雑貨・お土産ショップ「DÃ NHẠN」があるので、その繋がりかな？
きっとオーナーは単なるカフェに留まらない、クリエイティブな刺激に満ちた場所を目指しているのかもしれないね。
「noonconcept」のメニュー
カフェとしては珍しく、注文はテーブルオーダーかつ後払い。お店の雰囲気をそのまま映したような、ミニマルなメニューが渡されました。
華やかな「ARABICA BEAN」と、ベトナムらしい深みの「FINE ROBUSTA」に分かれ、その多くが「ROASTED BY NOONCONCEPT」の自家焙煎。ハンドドリップでは最高級品種「ゲイシャ」も選べるという本格派です。
伝統的なベトナムコーヒーも健在である一方、コールドブリューにジュースを合わせた「LAST SUMMER」のような創作メニューも。
コーヒー以外のドリンクも魅力的。ベトナム北部の山岳地帯で採れる希少な「SHAN TUYET（雪山）茶」をベースに、フルーツを合わせた創作ティーは、南国の気候にぴったりの爽やかさ。
自家製のケーキも、「バスクチーズケーキ」や「カヌレ」など、トレンドに沿ったものが並びます。ケーキを持ち帰り購入している人も多かったので、このカフェの売りの一つなのでしょう。
全体的にこだわりの垣間見えるメニューでありながら、ホーチミン市のカフェ相場と比べると非常に良心的な価格設定なのがスゴイ。
実食。静けさと一杯の贅沢
今回は「Matcha Latte」50,000ドンと、手作りの「Bánh Chuối Nướng（バナナブレッド）」35,000ドンを注文。
まずは抹茶ラテから。まるで湯呑みのような、深みのある青い釉薬が印象的なカップの中で、鮮やかな緑色が揺れています。
安価な抹茶ドリンクにありがちな香料っぽさは感じず、特有のほどよい旨味と微かなほろ苦さが広がりました。メニューによるとオーツミルクを使用しているためか、後味スッキリ。オーツミルクの持つ自然な甘みが、抹茶の旨味と苦味の角を取ってくれる感じです。
そしてバナナブレッド。魚の模様が特徴的なお皿で提供されます。かわいい〜（笑顔）。
フォークを入れると、ふんわりとした感触。サーブ前にリベイクしてくれたみたいです。
口に運べば、バナナの優しい甘さが広がり、素朴で心温まる味わい。パサつきはなく、口の中でほろりと崩れる生地と、ねっとりとしたバナナの食感のコントラストが良いわね…。
洗練された空間デザイン、壁を彩るアート、店内に流れる穏やかな音楽、そして一杯一杯丁寧に淹れられるドリンク…。トゥイホアの旅を彩ってくれそうな「noonconcept」に、是非お立ち寄りください。お昼はアイドルタイム（休憩時間）があるので注意。
