ベトナム南部の商業都市・ホーチミン市に位置する「タンソンニャット国際空港」。
タンソンニャット国際空港はベトナムで最も利用者の多い空港であり、国内外を結ぶ重要なハブ空港。
そんな、ベトナムで最大級の空港でありながら、ホーチミン市内中心部への移動方法についてはあまり整備されていません。
中心部とを結ぶ空港鉄道は未だ計画段階、エアポートタクシーは割高、空港発着の路線バスは土地勘が無いと使いにくい。時折声を掛けてくる白タクの中には、財布からこっそり高額紙幣を抜き取ったり目的地とは違う場所へ連れて行く悪徳ドライバーまで居ます。
そこで、空港からの移動におすすめしたいのが、ASEAN各国で圧倒的なシェアを誇るライドシェアアプリ「Grab(グラブ)」。
こんなにもある!Grabを利用するメリット
- アプリ一つで手配できる
- 予約時にアプリ上で運賃が事前に確認できる
- アプリにドライバーや車両の情報が表示される
- 人数や荷物に合わせて車種を選べる
本記事では、タンソンニャット国際空港の各ターミナル(国際線・国内線)からの「Grab」の利用方法を解説します。先日開業したばかりの国内線新ターミナル・T3についても紹介していますよ。
本記事では、「Grab」のインストール方法や操作方法そのものについては解説しません。空港到着までに「Grab」のインストールおよびアカウント登録まで完了させておくことを強く推奨します。
タンソンニャット国際空港の紹介
タンソンニャット国際空港は、ホーチミン市タンビン区に位置しており、市内中心部(主に1区)からの距離は、直線距離で約6km~8km程度と、国際空港としては市街地からかなり近い場所にあります。
一方、所要時間は交通状況によって大きく変動します。通常時であれば20分~30分でアクセス可能ですが、朝夕のラッシュアワーなど交通渋滞が激しい時間帯は、1時間以上かかることも珍しくありません。この近さと渋滞の激しさが、良くも悪くもこの空港の特徴であると言えます。

タンソンニャット国際空港では、これまで国際線(T2)と国内線(T1)の2つの旅客ターミナルが運用されてきましたが、慢性的な混雑の緩和を目的として、2025年4月に新・国内線ターミナル(T3)が開業しました。
既存の国内線・国際線ターミナル(T1とT2)は隣接していますが、T3は他の2つと距離があり、移動のためにはターミナル間を結ぶシャトルバスを利用することになります。
【注意】Grabを騙る悪徳ドライバー
それでは、各ターミナルからGrabに乗車する方法をご紹介…の前に、注意事項。
Grabを利用する際は、必ずGrabのアプリを通して配車した車に乗ること。それ以外の車には決して乗ってはいけません。

空港の敷地内には、スマホでGrabの画面(アプリ画面ではなくただの画像)を見せながら「Grab?Grab?」と声を掛けてくる輩がいます。おそらく「Grabと同じ料金(もしくはそれより安い料金)で連れて行ってやる」という営業トークをされることでしょう。
そこで素直に応じたとします。あなたは言われるがまま車の助手席に座り、運賃を先払いするように言われます。しかし、慣れないベトナムドンに苦戦し、思うように目当ての紙幣が見つからない。ドライバーは財布を覗き込み、「これだよ」と紙幣を抜き取ります。
無事ホテルに到着し、ふと財布を見ると…あれっ、現金、こんなに少なかったっけ?もう少し両替していたような気がするんだけど…。
数え直してみたところ、ちょうど100万ドン足りない。そう、空港で乗ったタクシーのドライバーが、無知と混乱に漬け込み、財布から高額紙幣である50万ドンを2枚、こっそり抜き去っていたのでした…。
上記は外務省からも定期的に注意喚起がなされるほどに、「あるある」の手口。ベトナム政府としても悪評を避けたいのは当然なので、警察が仕事をして悪徳ドライバーに罰金が課される事例もあることはあるのですが、ほとんどの場合は泣き寝入りになると思います。
数千円程度の被害でも、到着早々こんな目に遭ってはベトナムのことが大嫌いになるでしょう。滞在を楽しむためにも、空港を出て目的地に着くまでは気を抜かないように!「話しかけてくる人間は全員敵かもしれない」くらいの気持ちで気を張っておく方が安全です。
参考:GRAB(オンライン配車サービス)の運転手を騙るベトナム人による白タク被害について(外務省ホームページ・2024年03月12日発出)
国際線ターミナル(T2)からの乗車

まずは、大多数の人にとってホーチミン市の玄関口になるであろう国際線ターミナル(T2)から、Grabで配車・乗車する方法をご紹介。

到着口から外へ出たら、そのまま左側に進みます。建物から向かって見た場合は右側ですね。

「LUCKY CAFE FASTFOOD」という店名の軽食&ドリンクスタンドがあります。

この、「LUCKY CAFE」前の横断歩道を渡ります。

「Ride Hailing」の看板がある一帯、ここがGrabをはじめとする配車サービスの乗車ポイントです。「ライドヘイリング」とは配車サービスの総称のことですね。


あとはGrabで配車するのみ。乗車ポイントをタンソンニャット国際空港・国際線に指定しましょう。なお、Grabでも乗車ポイントへの行き方の説明があります。親切!

周囲にはGrabのユニフォームを着用したスタッフも居り、アプリの操作に不慣れな旅行者をサポートしてくれるようです。

地場系ライドシェアサービス「Be」および、地場系コングロマリット・ビングループ子会社が手掛けるEVカー配車サービス「Xanh SM」も同様に、乗車位置はこちらとなります。

「Be」のスタッフも待機していました。

配車できても気は抜かずに!乗車時は必ず車種、ナンバープレートをチェックし、「本当に自分にアサインされたドライバーか?」を今一度確認しましょう。
国内線ターミナル(T1)からの乗車

首都・ハノイでトランジットしてホーチミン市を訪れる場合など、国内線で到着する場合もあると思います。ということで、続いては国内線ターミナル(T1)からGrabで配車・乗車する方法をご紹介します。
なお、2025年4月19日より、ベトナム航空・ハノイ〜ホーチミン市便については、後述する新ターミナル(T3)発着となりましたのでご注意ください。今後はベトジェットエアの一部便もT3に移る予定です。

国内線ターミナルに到着したら、こちらの横断歩道を渡りましょう。

ターミナルの向かい側にある立体駐車場。ここが国内線最寄りのGrab乗り場です。

建物に入り、エアポートタクシーサービスには目もくれず直進。

具体的には、それぞれの柱に番号があてがわれているのですが、それに基づき配車サービスごとに停車できるエリアが割り振られています。


Grabであれば上記赤枠の柱が割り当てられているので、配車時に乗車ポイントを指定します。

地場系「Be」であれば「H6」。この辺りにはBeのユニフォームを来たスタッフが複数名居ました。おそらくGrabのスタッフも待機しているものと思われます。乗車位置の指定など、国際線から配車するよりもややこしいので、迷ったら声をかけましょう。
ドライバーは比較的すぐに見つかるのですが、如何せん狭い立体駐車場の中。大混雑しているので、車が自分のもとに到着するまで10〜15分くらいかかることを想定しておいた方が良いと思います。

余談ですが、「Xanh SM」の乗車位置のみ少し異なり、立体駐車場の外、「ビナサンタクシー (Vinasun)」や「マイリンタクシー (Mai Linh)」と同じレーンとなります。「Xanh SM」は自社車両に社員をドライバーとして割り当てる関係上、ライドシェアではなくタクシーサービスとして扱われているためかもしれない。

なお、国内線の近くには、バイクタクシー(GrabBike)の乗車/降車ポイントもあります。場所は、スターバックスやマクドナルドのある場所を左に曲がり、直進したところ。

こちらに、バイクタクシーが大勢待機しています。荷物が少ない方は利用を検討してみても良いかもしれません。小さなスーツケース程度であれば、スクーターの足元に乗せて運んでくれます(※自己責任でね!)。
新国内線ターミナル(T3)からの乗車

最後は採れたてぴちぴち(古)の最新情報。2025年4月19日に開業したばかりの、新国内線ターミナル(T3)からのGrab配車・乗車方法についてです。今後、運用が変わる可能性は非常に高いので、あくまで速報ベースの参考情報ということでご了承くだせえ。

先述の通り、新国内線ターミナルは現時点ではベトナム航空・ハノイ〜ホーチミン市便のみ運用中。ベトナム航空を利用して、ハノイからホーチミン市を訪れる方は、新ターミナルを利用することになるという心づもりをしておく方が良いかも!?
新国内線ターミナルは3フロアから成り、1階はタクシー降車口、2階は到着口、3階は出発口となります。

2階の到着口から出たら、エスカレーターまたはエレベーターで1階まで降りましょう。

なお、2階にもいくつか車が停まっていますが、ほとんどが青いナンバープレート(政府関連)または赤いナンバープレート(軍隊関連)の車両であり、関係者車両以外は進入できないものと思われます。

あと、2階到着口の看板の案内は滅茶苦茶なので、アテにしないように。これ、直ちに修正すべきだと思う。とっとと1階に降りましょう。

さて、1階。開業したは良いものの、今尚あちこちで絶賛工事中です。


さて、Grabでは既に、新ターミナルを乗車ポイントとして選べるようになっています。乗車ポイントへの行き方についても、ご丁寧に説明があります…が!

Grabを含むライドシェアサービスの乗車ポイントはこの奥にある立体駐車場なのですが、まだ工事中であり、車両の進入が出来ません。そのため、2025年4月時点でのGrab乗車口は、アプリに表示されている位置とは異なります。

一時的な運用として、ずらりとタクシーが並ぶこちらのエリアから乗車することになると思われます。Grabで配車できたら、ドライバーに「◯◯の柱にいるよ」とメッセージしてあげると親切かな、と。

こちらにもGrabのユニフォームを着たスタッフが待機しています。

いちいちやり取りするのが面倒、という方は、マイリンタクシーやビナサンタクシーに乗ってしまうのもアリかと。Grabの乗車方法を紹介する記事でこれを言うのは本末転倒ですが。

あと、「19A」の柱のあたりから、15〜20分間隔でT2・T1とを結ぶシャトルバスが運行されています(※無料)。新ターミナルは他のターミナルと離れており、移動のためには空港周辺の公道を走行することとなるため、特に朝と夕方のラッシュアワー時の交通渋滞には注意しましょう。

ちなみに、T3からバイクタクシーは利用できるのか?という話ですが、おそらく空港の敷地を出る必要がありそうです(Beのアプリで確認)。
空港使用料の支払いについて

空港からタクシーやGrab等に乗車する場合、空港使用料の支払いが必要になります。空港から出る際、ドライバーが一時的に立て替えてくれますが、最終的には乗客、つまり私たちが負担することになります。なお、空港で下車する場合は支払不要です(※2025年2月時点)。

空港使用料は、2025年2月時点で9,000ドン。Grabアプリに紐付けたクレジットカード等で運賃を支払う場合は勝手に引き落としされ、現金で支払う場合は運賃と併せてドライバーに支払います。
金額はころころ変わる可能性があるので参考程度に見ていただきたいのですが、何にせよ、ドライバーが我々を騙そうとしているわけでは決してありませんので、きちんと支払うようにしましょう。50円程度だし。
まとめ。Grabを利用して快適な滞在を
ホーチミン市・タンソンニャット国際空港の各ターミナル(T1・T2・T3)からの、Grab配車・乗車方法をご紹介しました。
Grabがタンソンニャット国際空港からの移動において、便利、安全、そして手頃な選択肢であることがお分かりいただけたかと思います。
空港で足止めを食うことなく、Grabでサクッと移動してホーチミン市での観光を最大限楽しみましょう!皆さまの滞在が素晴らしいものになりますように。