どうも、『星期一的越南法國麵包』です(語呂が悪すぎる)。
ASEAN圏内を飛び出して、台湾へとやって来ました。ホーチミン市からハノイ経由で台湾第三の都市・高雄へ飛び1泊、翌朝に電車(臺鐵)で台南へ向かい1泊、再び高雄に戻って2泊し早朝の直行便でホーチミン市へ…という旅程です。
普段はおひとりさま旅の私ですが、台南では現地の友人が丸1日アテンドをしてくれました。珍しく、完全に人任せの旅。友人は台南出身では無いものの、かなり長く住んでいるようなので大変信頼できます。
…ということで、今回は地元民おすすめの台南観光情報をご紹介しますよ。
台湾の古都・台南へ

10時20分、各駅停車の普通電車で台南駅に到着。本当は自強号(特急)のチケットを買うつもりだったのですが、どうやら最新車両が投入されている編成だったようで、早々に売り切れてしまっていた…。

友人と合流し、彼のスクーターに乗せてもらい移動。台湾もベトナム同様バイク社会ですね。ホテルに荷物を置きに行こうとしたのですが、どうやらAirbnbのようなタイプのホテルだったようで、チェックイン前の荷物預かりは受け付けていないとのこと。

と、いうことで友人宅に荷物を置かせてもらうことに…申し訳ナイス。駅からバイクで5分の立地にあるワンルームのアパートで、家賃は7000元とか言っていたかな?静かな住宅街で、良さげな環境。
友愛牛肉湯

まず向かったのは、友人の強い推薦があった「牛肉湯(ニョウロウタン)」のお店、「友愛牛肉湯」。オープンエアの店内は朝から地元客で満席。歩道にまではみ出したテーブルで食事をする人々の姿は、ベトナム生活ですっかり見慣れた光景なので全く違和感が無い。

「友愛牛肉湯」のメニューはこちら。

看板メニューの「元氣牛肉湯(小)」140元、目玉焼き(荷包蛋)をトッピングしたラードご飯「猪油拌飯」45元、さらに「時蔬炒牛肉(牛肉とキャベツの炒め物)」150元です。

牛肉湯のスープを一口すすると、体に優しく染み渡るような、滋味深い味わいに衝撃。ベトナムのフォーボー(牛肉のフォー)とは異なる、あっさりとしつつ奥深いコク。牛肉もまた柔らかく、とろけるような食感。

とろりとした黄身をラードご飯に絡め、スープに浸した牛肉と一緒に頬張るのもたまらんです。セルフサービスのつけダレ&千切り生姜でディップソースを作ることをお忘れなく。
懷舊小棧杏仁豆腐冰

時刻は昼に近づき、南国・台南の日差しがじりじりと強くなってきました。この時期の台湾は蒸し暑く、ホーチミン市の方が涼しいまである。

ということで、涼みがてらデザート。「懷舊小棧杏仁豆腐冰」です。緑豊かな通りに面した小さな窓口で注文と支払いを済ませます。

「懷舊小棧杏仁豆腐冰」のメニューはこちら。

店名の「懷舊(ホァイジョウ)」―つまり「懐旧・レトロ」の言葉通り、アンティークな木製家具や書が飾られ、昔の台湾にタイムスリップしたかのような、落ち着いた時間が流れています。

注文したのは、「杏仁豆腐冰+煉乳」に、おすすめトッピング全部乗せの「綜合」65元。運ばれてきた器には、格子状に美しくカットされた真っ白な杏仁豆腐が鎮座し、その周りを小豆、緑豆、ハトムギが彩ります。それにしても、マンゴーみたいな切り方の杏仁豆腐だな…。

この杏仁豆腐、日本のものとは一味違い、もちもち、ぷるんとしたしっかり弾力のある食感が特徴。噛むほどに優しい杏仁の香りがふわりと広がります。甘さ控えめの豆類と、シャリシャリのかき氷、そして練乳の甘さが一体となり、火照った体に染み渡るような美味しさでした。ノスタルジックな雰囲気の中でいただく優しいスイーツは最高の癒やし。
安平樹屋&英商德記洋行

その後、道中で飲み物を買いつつ、沿岸部の安平(アンピン)エリアへ。かつて貿易港として栄えた、台南の歴史を語る上で欠かせない場所です。


まず訪れた「安平樹屋」は、19世紀末に建てられたイギリス商社の倉庫が、長い年月を経て巨大なガジュマルの木に飲み込まれてしまったという、まさにラピュタのセカイ(日本人、ジブリで例えすぎ問題)。入場料は大人ひとり70元です。


建物の壁を突き破り、屋根を覆い、血管のように張り巡らされたガジュマルの気根。廃墟となったレンガの壁と、それを侵食する生命力の力強さが共存する光景は圧巻。

なおこの日は土曜日であったにも関わらずガラガラでした。そりゃあこんな暑いんだもの、日中に出歩く奇特な人はなかなか居ない。

樹屋のすぐ隣に建つのが、その倉庫の持ち主であったイギリスの貿易会社「英商德記洋行」の洋館です。こちらは樹屋の光景とは対照的に、白壁にアーチ型のベランダが美しい、コロニアル様式の建物。


館内は現在、当時の安平の暮らしや貿易の歴史を伝える博物館になっています。空調が効いていて快適。


樹屋と洋館をセットで見学することで、この地の栄枯盛衰の物語をより深く理解することが出来そうですね。
林百貨

台南のランドマーク「林百貨」。1932年の日本統治時代に建てられたこの百貨店は、当時台南で最もモダンな場所でした。戦後、長く閉鎖されていましたが、2014年に台湾の文化やデザインを発信する「カルチャー・デパート」として復活。

外観の写真を撮っていなかったので、以前訪れた際に撮影したものでご勘弁を。

レトロな指針式のエレベーターで屋上へ上がって来ました。

すると、日本式の神社が。商業ビルの屋上に現存する神社としては、当然ながら台湾で唯一だそうで、この建物の数奇な歴史を感じさせますね。

涼むだけの冷やかしのつもりでしたが…ついついドリンクバッグとエコバッグを買ってしまった。レジ袋無料のベトナムではあまり縁が無さそうだけど…ま、多少はね?(何が?)
國立臺灣文學館

林百貨のすぐ近くに佇む知の殿堂「國立臺灣文學館」。ここも元々は1916年に完成した日本統治時代の「台南州庁」で、重厚で美しい洋風建築は圧倒的な存在感を放っています。

設計は辰野金吾の弟子・森山松之助。東京駅にどことなく似ていると思ったけど、そういうことなのね。驚くべきことに、これだけの施設がなんと入場無料。

台湾の豊かな文学の歴史を伝える、モダンな常設展「文學力」。「警告、あなたはもう文学に包囲されている」というメッセージがキャッチー…って、なんで日本語くんが!?


展示は台湾原住民の口承文学から始まりますが、日本統治時代の出来事も大きく関わるため、日本語が併記されているのかな?台湾の人々が紡いできた物語の世界を深く知ることができます。これが…無料のコンテンツだと?
璞味綿綿冰 小北門店

文学館で頭を使った後は、また甘いものが食べたくなります。「璞味綿綿冰 小北門店」で本日2度目のスイーツタイム。

「素材本来の味を大切にする」というコンセプト通り、ここのアイスは新鮮な食材を使い、人工的な添加物を極力使わない自然な味わいが特徴とのこと。店内は昔の台湾の路地裏を模したようなレトロな内装で面白い。

「綿綿冰三球」75元と、「手工布丁」65元。

私は牛奶(ミルク)、花生(ピーナッツ)、芒果(マンゴー)の三種をセレクト。絹のようになめらかな舌触りのアイスであり、濃厚な素材の味が楽しめます。特にマンゴーは、まるで完熟した果実をそのまま凍らせたかのようなフレッシュさ。

一緒に頼んだ手作りプリンも、卵の味が濃く絶品。固めプリン過激派の私もニッコリの仕上がりでした。こういった、日本風レシピのプリンを推しているお店を多く見かけましたね。
沙卡里巴

ディナーは、友人イチオシのレストラン「沙卡里巴(サカリバ)」にて。台湾式居酒屋「熱炒」スタイルのお店であり、店名は日本統治時代の「盛り場」に由来します。

で、その内装がすごかった。壁一面に描かれた巨大なイラスト、店内に吊るされているのは今や絶滅危惧種の手描きの映画看板や、ショーガールのオブジェなど。店全体がエンターテイメント空間になっています。

在りし日の日劇ミュージックホールを想起させる、おっぺえ丸出しのパフォーマンス。台湾にも同様のものがあったようです。

ここで味わうのは、大勢で様々なおかずをシェアして楽しむ「熱炒料理」。我々は2名だけだったので、4品を注文。飲み物は定番のアップルサイダー「蘋果西打」50元です。




シャキシャキ食感が楽しい「素客家水蓮」110元、豆腐をベトナムでも人気の塩漬け卵黄で炒めた「金沙豆腐」180元、台湾ソーセージのしっとりチャーハン「香腸炒飯」100元、結婚式でよく食べられる海老とパイナップルのマヨネーズ和え「鳳梨蝦球」250元。
いやはや、活気あふれる雰囲気の中で食べると格別の美味しさですね。最高の雰囲気の中、最高の台湾ディナーでした。

なお、店内の男性トイレはまさかの壁ションスタイルでした。清潔に保たれているようだったのであくまでレトロ演出の一環だとは思いますが、男子諸君は面食らわないよう心の準備を。

この後、友人とはバイバイして、ホテルで一泊。謎に日本風の宿だった…ほんとに何で?
六吋盤 成大店

翌朝。高雄へは午後戻る予定だったので、午前中は1人で軽く街歩きをしようと考えていたのですが、この日も友人が時間を作ってくれ、早めの昼食を共にすることに。

友人が通っていた成功大学のそばにある、学生に人気のブランチカフェ「六吋盤 成大店」。店名は「6インチプレート」の意。ガラス張りの明るい店内が特徴です。

メニューの一例はこんな感じ。揚げ物をメインに据えたプレートは、日本人も気に入るはず。

「日式熱煎飯糰三兄弟拼盤」170元。プレーンな醤油、ツナマヨ、鮭フレークの三種の焼きおにぎりに、ポテトやサラダ、ヨーグルトまでついた、彩り豊かでボリューム満点の一皿。

友人が注文したのは「烤明太子醬熱煎飯糰 佐秘製覺醒炸雞拼盤」。明太焼きおにぎりとフライドチキンの組み合わせです。男の子ってこういうの好きなんでしょ!?

食後はバイクで台南駅まで送ってもらってお別れ。運良く最新の自強号3000系のチケットが買え、13時半の電車で高雄へと向かいました。
まとめ
台南はこれで3回目の訪問でしたが…いやあ、良かった。人任せの旅程に一抹の罪悪感はありつつも、自分1人では行かなかった or 知れなかったお店に行けたのが最高でした。
台南に限った話では無いですが、何を食べても美味しいし、道は歩きやすいし、便利だし、やはり台湾は最高やで。交通量の割に空気も綺麗ですね。バイクに乗るときにマスクしなくても大丈夫だったし、何よりも真っ青な空を久々に見た気がする。
唯一辛かったのは、上述した通り、蒸し暑かったことですね…!ホーチミン市の方がまだカラっとしてますもん。
何にせよ、台南、また来ます。次は二泊したい。